タネを遠くへ飛ばす
ヤツシロランの戦略

 風にタネを広く遠く運んでもらうのには、 セッコクやフウランなどのように高い木に着生している方が断然有利です。
 クロヤツシロランといえば地面に生えて、その花が落葉に触れるほど背が低いのです。 これでは、タネは株の周りの狭い範囲にしか撒かれません。
 ところが実を結ぶととたんに、花柄の部分が伸び始めます。
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ヤツシロランは花柄が伸びる

 クロヤツシロランの花は、地べたに張り付くようにロゼット状に咲いています。 しかも茶色で落ち葉の色に溶け込んでいて、まったく目立ちません。
 おそらくポリネータ(送粉者)は、花の色ではなく、 臭いに惹きつけられて花を訪れているのでしょう。(ショウジョウバエなど)
 受粉がうまくいって受精すると、花柄が急速に伸び始めます。 なお、花被は溶けるようになくなります。
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アキザキヤツシロランと
クロヤツシロランの見分け方

 アキザキヤツシロランとクロヤツシロランは花の咲く時期は同じです。 アキザキヤツシロランは竹林以外ではあまり見られませんが、 クロヤツシロランの自生地は常緑広葉樹林、杉林などのほか竹林にも生えて、 アキザキヤツシロランと隣り合わせに花を咲かせていることもあります。 そのせいか、1980年に新種としてクロヤツシロランが発表されるまでは、 両者は同じ種として扱われていました。 クリックして、
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ウチョウラン、
1粒160万円也

 ウチョウランは、大豆ほどの球根から春に芽を出し、 夏に花を咲かせ、晩秋には地上部は枯れます。 その間に、新しい球根を作りますが、もとの球根はなくなります。 新しい球根が2個できれば、毎年、2倍に増えます。 1個しかできなければ、もとの1株のままです。 不幸にして新しい球根ができなかったら、終わり。
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着生ランと気のあう木

 着生ランは、樹木や岩石にくっついて生きているランのことです。 これに対して、地面に生えているのを地生ランと呼んでいます。
  一番よくランがついているのは、私の経験では杉です。 それも幹ではなく枝だ、と言ってよいでしょう。 ただランにとって都合の悪いことは、 杉は伸びるに従って枝をどんどん落としていくことです。 たとえば、カヤランが成長してこれから花を咲かそうというときに、 杉が枝を落としてしまいますと、もうおしまいです。
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ツチアケビの
実を喰うものは?

 ラン科の大原則?に反するのが、ツチアケビです。
 ツチアケビの果実は、ほんとにアケビの実に近い大きさで、 一株にたくさんの実をつけますが、熟しても割れ目はどこにもできません。 タネも、ほかのランに比べると極端に大きくて風で飛びそうもありません。
 それでは、どうやって種まきをするか?ということですが、どうもはっきりしません。 「果実をキジバトがついばんでいるところを見た」と朝日百科植物の世界に書かれているのが唯一の情報です。
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咲くは
トサノクロムヨウラン

 クロムヨウランの開花を見るのはなかなか難しい、 というのは常識になっていますが、 ここ数年間の経験で私はここ土佐では「クロムヨウランは花を開かない」と 達観していました。
 私の友人の一人からも同じ体験を聞きましたので、いよいよ間違いないと確信していました。
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地生ラン、木に登る

 車道の側の小さな谷川の向こう岸に、一抱えもある榎の古木があって、 その幹にベニシュスランがついていました。 地面から1mから高いところは3mのあたりまで10株ほどが花を咲かせていました。 この谷川に沿った、湿っぽい林床でベニシュスランをよく見かけましたが、 樹幹に着生しているのは初めてです。
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アケボノシュスランと
シュスランを見分ける

 四国に自生するシュスラン属は、6種類ありますが、 その内、シュスランとアケボノシュスランとは、 花期が同じで、比較的似たような場所に生えていることがあります。
 しかし、ポイントさえつかめば、見分けるのは簡単です。
① 花序の柄の長さ:シュスランの花序には長い柄があります。 言い換えると、茎に付く一番上の葉と一番下の花との間隔が大きく空いているのです。
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杉林に棲むランたち
--- 着生ラン ---

 私がこれまでに見た着生ランは15種ですが、 そのうち11種は杉に着生することを確認しました。 未確認のボウランやミヤマムギラン、ヨウラクランなども私が これまでに見ていないだけかもしれません。
 谷沿いの道を歩いていると、落ちた杉の枝にくっついているランを良く見ます。 地面に落ちたものはいずれダメになりますが、 拾ってきて庭木に縛り付けておくと、たいていはそこに付きます。
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杉林に棲むランたち
--- 地生ラン ---

 近くの山といえば「杉林」です。 私が子供のころはに家の近くの山=里山は雑木林でしたが、 今はもうその姿はほとんど残されていません。 氏神様を囲む木々も杉になっています。 神社を建て替える際の費用に当てようと、鎮守の森を杉の植林にしたそうです。
  ガスが燃料となったので、薪をとったり、炭に焼く雑木はいらなくなり、里山に杉の苗を植えました。 田畑の耕作をやめるとき、そこにやはり杉の苗を植えました。
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セイタカスズムシに
図鑑とは違う2つのタイプ

 手許の図鑑「カラー版野生ラン」(家の光協会発行)では、 スズムシソウのページとセイタカスズムシのページが見開きになっていて、 両方を比較するのには、たいへん便利です。
 セイタカスズムシのページには、「スズムシソウによく似ているが、 花は小さく、花茎はむしろ高い」と書かれています。 この図鑑の両者を見比べると、「セイタカスズムシ」の和名をつけたことが納得できます。、
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オオバヨウラクラン
見分けるポイント

 8月6日に撮影したオオバヨウラクランは、私が初めて出会ったものです。 ヨウラクランと区別する一番のポイントは、花が咲いている時期だということを教わりました。
 ヨウラクランの花期は、手元の図鑑では4~6月となっていますが、 実際に私が撮影した写真の日付も5月15日前後です。
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横道派、
ムカゴサイシン 発見

 10人ぐらいのグループで二軒しかない山里から、いざこれから登ろういう時のこと。 そのうちの一軒の主人が出てきて、ぜひ案内したい所がある様子。
 そこで、植物調査という本来の目的に添ってまっすぐ山頂を目差す者と地元男性の誘惑で横道にそれる者と、 グループは二派に分かれて進むことになり、私は後者に加わりました。
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ムギランとミヤマムギランを
葉で見分ける

 ミヤマムギランは、ムギランと同属であるが、花は全く違う。 だから、花が咲いていれば見分けるのは簡単だが、 花が無いと、意外と見分けるのは難しい。
 ミヤマムギランは、名前の通り、比較的深山にあって、より湿度を好む。 また、ミヤマムギランの葉は、ムギランに比べて、細長い。 しかし、両者とも葉の長さには変異があり(脚注)、ムギランの方が、ミヤマムギランより長いこともある。 だから、これらは傾向として見ることはできるが、決め手とするには無理がある。
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ムギラン、円葉と長葉

 ムギランは四国ではごくポピュラーな種で、近くの山でも良く見かけるが、 このごろ、2つのタイプがあるのではないか、と気になりだした。
 1つは、葉が長楕円形のものである。線形といっても良いものまである。
 2つめは、葉が円く、卵形のものである。
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クロヤツシロランの花の中に
ショウジョウバエがいた!

 クロヤツシロランの花の正面にカメラを置いて、ファインダーを覗いたら、 小さなハエ(おそらくショウジョウバエ)がいました。 蚊に刺されながら、16分も粘って撮影しました。
 最後には、蟻がやってきて、ショウジョウバエに襲いかかり、撮影をやめました。
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クロムヨウランは
今年も咲かない

 この一画だけが里山の風情を残しています。 ここに20株ぐらいのクロムヨウランが現れます。
 昨年と違って、雨もふり地面はたっぷりと水分を含んでいます。 今年は咲いた花が見えるか!と期待が高まりました。 今年も10回ぐらいは通いました。早朝にも行きました。
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咲かないクロムヨウランこそ
本物!?

 澤完氏(もと高知大学教授、故人)が1981年発行の 高知大学学術研究報告の「高知県中部のラン科植物」の中で、 クロムヨウランについて「開花することなく結実する」と書いておられます。
 しかし、手元の図鑑(カラー版 野生ラン 家の光協会発行)には 大きく開いた花をつけたクロムヨウランの写真が載っています。 そして「花はおそらく晴天の日、朝に平開する」と記されています。
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クモラン、
「生き残る」言葉の重さ

この姿が蜘蛛に似ているというのです。茎や葉らしいものはありません。 最初のころ葉らしいものが現れることもあるらしいのですが・・・
 クモランの根はやや扁平で、葉緑素を含んでおり、光合成を行います。 葉の役目を担っているわけです。
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クマガイソウの
葉は変わりもの

 ここ数ヶ月、クマガイソウの花の写真を撮りたくて、歩き回りました。 苦労の末、あるいは偶然に数十の株に出会いましたが、花も蕾もありません。 ただ一つ、友人に教えてもらったところの一株が花をつけていました。 クマガイソウは、その特異な二枚の葉で太陽の恵みを受け止めて養分を貯めます。 クリックして、
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コオロギランの自生地は
常緑広葉樹林?

 「常緑広葉樹林の林床に生える」と、手許の「野生ラン」(家の光協会発行)には書かれています。
 ところが自生の様子を写した写真の説明には、 「スギの落葉の中からポツポツと顔を出す」と説明があります。 常緑広葉樹林にスギが生えていてもいいし、 スギ林に常緑広葉樹が混ざっていることも良くあることです。 しかし、コオロギランの自生環境の記述としては納得がいきません。
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菌とランとの出会い
喰うか 喰われるか

 ランの種子はとにかく小さい。たくさん作って、 風に乗せて飛ばす戦略だから、小さくならざるをいない。 だから、自力で発芽するだけの貯えが種子に含まれていない。
そこで、ラン菌の助けを必要とするのだが、その出会いが劇的である。
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シュンランとラン菌
との関わり合い

 シュンランは、年中青々とした葉を茂らしている。ムヨウランなどの腐生ランとは違う。 当然光合成しているはずで、 全部あるいは殆どが光合成で得た自前の養分かと思ったら大違い。
 菌から摂った養分が60%にも達するという。 自前の分よりすっと多いという調査結果もあるという。 シュンラン体内の炭素を分析すれば、光合成の炭素と菌由来の炭素の比率が判るという。
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ランのタネは菌のご馳走

 ランのタネに菌が食指を伸ばすが、逆に、ランが菌を餌食にして発芽する。 そして、菌根を通じて成長し、開花し、果実をつくり、タネをまき散らす。 ランと菌との関係は、この繰り返しかのように言われる。 とくに、いわゆる腐生ランの場合は、発芽期だけではなく、生涯を通して菌のお世話になっている、 あるいは、菌を食い物にしているということになる。 クリックして、
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ランの果実は、
にたりよったり

 ランの花の色形は、千変万化。
昆虫などをおびき寄せ花粉を運んでもらうために、あの手この手と工夫を凝らしている結果でしょう。
 甘い蜜とか香りとか色で誘う花が多いでしょうが、 中には雌の昆虫に化けて雄を誘惑するものまであります。
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下を向いて歩こう

 杉は伸びるにしたがって、枝を落としていきます。 谷沿いの杉林を歩いていると、枝にくっついたカヤランを拾うことができます。 見付けられない日はない、といっても良いでしょう。
小さなランですが、 杉の枝に沿って伸びた数条の白い根が 薄暗い場所でも目立つのです。
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拾ったら、カシノキラン!

 名は、「樫の木蘭」ですし、図鑑にも、カシノキランは「常緑広葉樹林の樹幹に着生する」と書かれています。 杉の枝にカシノキランが着いているのは、私には意外でした。
 カヤランとは、姿は一見似ています。これまで、カヤランと思って見過ごしてきたものの中に、 もしかするとカシノキランがあったかも知れないと、 もしかするとカシノキランがあったかも知れないと、いま思っています。
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カンランとシュンラン
葉の違いは?

シュンランとの区別に悩むことはありません。 カンランは秋ごろ、細長い花茎を伸ばして少なくても3個、多ければ10個を超える花をつけます。
 これにたいしてシュンランは春、太く短い花茎に花を1個だけつけます。
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ヤクシマアカシュスランと
カゲロウラン どこが違う?

 カゲロウランとヤクシマアカシュスランとは良く似ています。 そのため両者は同じ属に含められたこともあるそうです。 また、共に亜熱帯的な気候を好むようで、 四国では黒潮の暖かさをうける太平洋側の照葉樹林に生えていてます。 クリックして、
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ホザキイチヨウランの
「イチヨウ」はウソ!

 アリサンムヨウランは私は見たことがないのですが、図鑑によると「葉は2~5枚」となっています。 「無葉蘭」の和名がつけられたのは、「最初に台湾の阿里山産の無葉の標本で記載されたため」だそうです。 素人の私が、地面に出たばかりのコケイランやサイハイランの花茎の根元に葉がないを見て、 「腐生蘭だ!」と早合点しても、許されるでしょう。 クリックして、
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ホザキイチヨウランは
360度捻ってもとに戻る

 ホザキイチヨウランの特徴の1つは、唇弁が上になることです。 世界では約400種、日本では8種あるというヤチラン属の共通点だそうです。
 しかし、ホザキイチヨウランのかわっているのは、 唇弁を上にするために花柄子房を360度も捩じっていることです。
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ホソバシュンランの
葉は幅3mm?

 シュンランの変種としてのホソバシュンランというからには、 「この春蘭は葉が細い」というだけではダメで、一定の規格にはまらないといけないのですが、 それがあまりはっきりしてないようです。
 ホソバシュンランの葉の幅については、 「2~3mm」「3mm前後」「4mm以下」「5mm以下」諸説あります。
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ハルザキヤツシロラン
花5個咲かす!

 手許の図鑑「カラー版 野生ラン(家の光協会発行)」のハルザキヤツシロランの項には、 花数は「1~2個」と書かれていました。
 しかし、3個の花をつけた株は、そんなに珍しくありませんので、
一昨年、「2個」を消して「3個」と書き加えました。
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ギンランとユウシュンランの
見分け方

 ユウシュンランはギンランの変種であるとする説が大勢ですが、両者には明確な違いがあります。 以下、その相違点を挙げてみました。
地上部の高さ  ギンランが大きいものは30cm近くなるのに対して、 ユウシュウランはせいぜい10数cmです。
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ユウシュンランは
ギンランの変種でいいの?

 ユウシュンランは、1932年に、宮部金吾・工藤祐舜両氏によって、新種 Cephalanthera subaphyllaとして発表されています。
 ところがその後、ギンラン C. erectaの変種 C. erecta var. subaphylla Ohwii (大井次三郎 1953) とする説がでて、 現在の大勢はこの学名を採用しているように見えます。
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ギンラン 神社の側に群れる

 一坪かそこらの広さの場所に38株を数えることができました。   数メートル離れたところにキンランも花を咲かせていました。 その数、7株。これもすべて花を咲かせていました。
 4年前(2004年)にキンランを見つけて以来、毎年ここに来ていますが、 ギンランに気づいたのは今年がはじめてです。
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エビネと廃屋

 林道に車を置いて、急な坂道を20分ぐらい歩いたとき、目の前にエビネが咲いていました。 近くにはもう崩れかけた廃屋があります。
 家人がまだここで生活していたとき、数株のエビネを山で採ってきて植えたものでしょう。
 ここは昔は10数軒あった小さな部落でした。
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世界のランの80%は、着生

  ランはその生える場所によって、地生ランと着生ランとに大別されています。
 ところで、地生ランと着生ランとどちらが多いでしょうか。  カラー版野生ラン(家の光協会発行)には、262種類が掲載されています。 その内訳は、着生種37、地生種225となり、 日本では断然地生種(86%)が多いのです。
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ツチアケビの実を
喰うものは?

ラン科の大原則?に反するのが、ツチアケビです。
 ツチアケビの果実は、ほんとにアケビの実に近い大きさで、一株にたくさんの実をつけますが、熟しても割れ目はどこにもできません。 タネも、ほかのランに比べると極端に大きくて風で飛びそうもありません。
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